○亘理町職員の懲戒処分等に関する基準
令和7年3月31日
訓令第5号
(趣旨)
第1条 この訓令は、地方公務員法(昭和25年法律第261号。以下「法」という。)第29条の規定に基づく職員の懲戒処分等が厳正かつ公正に行われるよう基準を定めるものとする。
(定義)
第2条 この訓令において用いる用語の意義は、法、道路交通法(昭和35年法律第105号。以下「道交法」という。)及び関係法令の定めるところによる。
(懲戒処分等の種類及び順位)
第3条 懲戒処分等の種類及び順位は、次に掲げるとおりとする。
(1) 懲戒処分
ア 免職 職員としての身分を失わせる処分
イ 停職 1日以上6箇月以下の範囲で職務に従事させない処分
ウ 減給 1日以上6箇月以下の範囲で給料を減ずる処分
エ 戒告 違反行為の責任を確認させ、将来を戒める処分
(2) 懲戒処分に至らない指導上の措置
ア 訓告 任命権者が文書により行う厳重注意
イ 文書注意 任命権者が文書により行う注意
ウ 口頭注意 任命権者が口頭により行う注意
(懲戒処分等の基準等)
第4条 懲戒処分等の決定にあたっては、次に掲げる事項を総合的に考慮し、別表に掲げる懲戒処分等の種類(以下「標準例」という。)を参考にして、適正に判断するものとする。この場合において、標準例に記載のない違反行為についても、懲戒処分等の対象となり得るものとし、基準のうち類似のものを参考に判断するものとする。
(1) 違反行為の動機、態様及び結果
(2) 故意又は過失の度合い
(3) 違反行為を行った職員の職責と違反行為との関係
(4) 他の職員及び社会に与える影響
(5) 過去における違反行為の有無
(6) 日常の勤務態度及び違反行為の前後における勤務態度
(懲戒処分等の加重及び軽減)
第5条 懲戒処分等を行う場合において、違反行為を行った職員が次の各号のいずれかに該当するときは、標準例よりも重い処分等を行うことができる。
(1) 違反行為の動機若しくは態様が極めて悪質であるとき又は違反行為の結果が極めて重大であるとき。
(2) 違反行為を行った職員が管理又は監督の地位にあるなどその職責が特に高いとき。
(3) 違反行為の公務内外に及ぼす影響が特に大きいとき。
(4) 過去に類似の違反行為を行ったことを理由として懲戒処分等を受けたことがあるとき。
(5) 処分の対象となり得る複数の異なる違反行為を行っていたとき。
2 懲戒処分等を行う場合において、違反行為を行った職員が次の各号のいずれかに該当するときは、標準例よりも軽い処分等を行うことができる。
(1) 職員が自らの違反行為を自主的に申し出たとき。
(2) 違反行為を行うに至った経緯その他の情状に特に酌量すべきものがあると認められるとき。
(3) 日常の勤務態度が良好であるとき。
(所属長の責務)
第6条 所属長は、常に所属職員の行動の把握に努め、所属職員が違反行為を現に行い、又は行ったことが明らかであると判断した場合は、遅滞なくその旨を総務課長に報告しなければならない。
(指揮監督する者の責任)
第7条 職員の懲戒処分等を行った場合において、当該職員を指揮監督する者(以下「監督者」という。)が次のいずれかに該当するときは、当該監督者に対しても懲戒処分等を行うものとする。
(1) 所属職員の違反行為を了知していたにもかかわらず、その事実を隠し、又はこれを黙認したとき。
(2) 所属職員が懲戒処分等を受けることに関し、指揮監督に適正を欠いたとき。
(関係職員の懲戒処分等)
第8条 職員の懲戒処分等を行った場合において、当該職員以外の職員が次の各号のいずれかに該当するときは、当該関係職員に対しても懲戒処分等を行うものとする。
(1) 違反行為をした職員に対し、当該違反行為に係る事項を教唆し、又は当該違反行為をほう助したと認められるとき。
(2) 職員の違反行為を了知していたにもかかわらず、これを黙認し、又は当該職員と共に違反行為の全部若しくは一部を行ったとき。
(その他)
第9条 この訓令に定めるもののほか、必要な事項は、町長が別に定める。
附則
(施行期日)
第1条 この訓令は、令和7年4月1日から施行し、同日以後に処分事由となる違反行為について適用する。
(自動車運転事故等職員の懲戒等の基準に関する規程の廃止)
第2条 自動車運転事故等職員の懲戒等の基準に関する規程は、廃止する。
別表(第4条関係)
1 一般服務関係
違反行為等 | 懲戒処分等の種類 | |||||
免職 | 停職 | 減給 | 戒告 | 訓告等 | ||
(1) 欠勤 | ア 正当な理由なく21日以上の間勤務を欠いたとき。 | ○ | ○ | |||
イ 正当な理由なく11日以上20日以内の間勤務を欠いたとき。 | ○ | ○ | ||||
ウ 正当な理由なく10日以内の間勤務を欠いたとき。 | ○ | ○ | ||||
(2) 遅刻・早退 | 勤務時間の始め又は終わりに繰り返し勤務を欠いたとき。 | ○ | ○ | |||
(3) 休暇の虚偽申請 | 病気休暇又は特別休暇について虚偽の申請をしたとき。 | ○ | ○ | ○ | ○ | |
(4) 勤務態度不良 | 勤務時間中に職場を離脱して職務を怠り、公務の運営に支障を生じさせたとき。 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
(5) 職場内秩序を乱す行為 | ア 他の職員に対する暴行により職場の秩序を乱したとき。 | ○ | ○ | ○ | ||
イ 他の職員に対する暴言により職場の秩序を乱したとき。 | ○ | ○ | ||||
(6) 虚偽報告 | 事実をねつ造して虚偽の報告を行ったとき。 | ○ | ○ | ○ | ○ | |
(7) 違法な職員団体活動 | ア 法第37条第1項後段の規定に違反して同項前段に規定する違法な行為を企て、又はその遂行を共謀し、そそのかし、若しくはあおったとき。 | ○ | ○ | |||
イ 法第37条第1項前段の規定に違反して同盟罷業、怠業その他の争議行為をなし、又は政府の活動能率を低下させる怠業的行為をしたとき。 | ○ | ○ | ||||
(8) 秘密漏えい | ア 職務上知ることのできた秘密を故意に漏らし、公務の運営に重大な支障を生じさせたとき。 | ○ | ○ | ○ | ○ | |
イ 具体的に命令され、又は注意喚起された情報セキュリティ対策を怠ったことにより、職務上の秘密が漏えいし、公務の運営に重大な支障を生じさせたとき。 | ○ | ○ | ○ | |||
(9) 政治的目的を有する文書の配布 | 政治的目的を有する文書を配布したとき。 | ○ | ||||
(10) 法令等違反・不適正な事務処理等 | 職務の遂行に関して法令等に違反し、又は不適正な事務処理等を行うことにより、公務の運営に重大な支障を与え、又は町民等に重大な損害を与えた者 | ○ | ○ | ○ | ||
(11) 内部通報 | 違法行為の事実を内部機関に通報した職員を詮索し、又はこれに不利益を及ぼし、若しくは及ぼそうとした者 | ○ | ○ | |||
(12) 兼業の承認等を得る手続のけ怠 | 営利企業の役員等の職を兼ね、若しくは自ら営利企業を営むことの承認を得る手続又は報酬を得て、営利企業以外の事業の団体の役員等を兼ね、その他事業若しくは事務に従事することの許可を得る手続を怠り、これらの兼業を行ったとき。 | ○ | ○ | ○ | ||
(13) 入札談合等に関与する行為 | 町が入札等により行う契約の締結に関し、その職務に反し、事業者その他の者に談合を唆すこと、事業者その他の者に予定価格等の入札等に関する秘密を教示すること又はその他の方法により、当該入札等の公正を害すべき行為を行ったとき。 | ○ | ○ | |||
(14) 個人の秘密情報の目的外収集 | その職権を濫用して、専らその職務の用以外の用に供する目的で個人の秘密に属する事項が記録された文書等を収集したとき。 | ○ | ○ | ○ | ||
(15) 公文書の不適正な取扱い | ア 公文書を偽造し、若しくは変造し、若しくは虚偽の公文書を作成し、又は公文書を毀棄したとき。 | ○ | ○ | ○ | ||
イ 決裁文書を改ざんしたとき。 | ○ | ○ | ○ | |||
ウ 公文書を改ざんし、紛失し、又は誤って廃棄し、その他不適正に取り扱ったことにより、公務の運営に重大な支障を生じさせたとき。 | ○ | ○ | ○ | |||
(16) セクシュアル・ハラスメント | ア 暴行若しくは脅迫を用いてわいせつな行為をし、又は職場における上司・部下等の関係に基づく影響力を用いることにより強いて性的関係を結び若しくはわいせつな行為をしたとき。 | ○ | ○ | |||
イ 相手の意に反することを認識の上で、わいせつな言辞、性的な内容の電話、性的な内容の手紙・電子メールの送付、身体的接触、つきまとい等の性的な言動(以下「わいせつな言辞等の性的な言動」という。)を繰り返したとき。 | ○ | ○ | ○ | |||
ウ 相手の意に反することを認識の上で、わいせつな言辞等の性的な言動を行ったとき。 | ○ | ○ | ||||
(17) パワー・ハラスメント | ア 相手に著しい精神的又は身体的な苦痛を与えたとき。 (相手が強度の心的ストレスの重積による精神疾患に罹患したときは、免職、停職又は減給) | ○ | ○ | ○ | ○ | |
イ パワー・ハラスメントを行ったことについて指導、注意等を受けたにもかかわらず、パワー・ハラスメントを繰り返したとき。 | ○ | ○ |
2 公金官物取扱い関係
違反行為等 | 懲戒処分等の種類 | |||||
免職 | 停職 | 減給 | 戒告 | 訓告等 | ||
(1) 横領 | 公金又は官物を横領したとき。 | ○ | ○ | ○ | ||
(2) 窃取 | 公金又は官物を窃取したとき。 | ○ | ○ | ○ | ||
(3) 詐取 | 人を欺いて公金又は官物を交付させたとき。 | ○ | ○ | ○ | ||
(4) 紛失 | 公金又は官物を紛失したとき。 | ○ | ○ | |||
(5) 盗難 | 重大な過失により公金又は官物の盗難に遭ったとき。 | ○ | ○ | |||
(6) 官物損壊 | 故意に職場において官物を損壊したとき。 | ○ | ○ | ○ | ||
(7) 失火 | 過失により職場において官物の出火を引き起こしたとき。 | ○ | ○ | |||
(8) 諸給与の違法支払・不適正受給 | 故意に法令に違反して諸給与を不正に支給したとき又は故意に届出を怠り、若しくは虚偽の届出をするなどして諸給与を不正に受給したとき。 | ○ | ○ | |||
(9) 公金官物処理不適正 | 自己保管中の公金の流用等公金又は官物の不適正な処理をしたとき。 | ○ | ○ | ○ | ||
(10) コンピュータの不適正使用 | 職場のコンピュータをその職務に関連しない不適正な目的で使用し、公務の運営に支障を生じさせたとき。 | ○ | ○ | ○ | ○ |
3 公務外非行関係
違反行為等 | 懲戒処分等の種類 | |||||
免職 | 停職 | 減給 | 戒告 | 訓告等 | ||
(1) 放火 | 放火をしたとき。 | ○ | ||||
(2) 殺人 | 人を殺したとき。 | ○ | ||||
(3) 傷害 | 人の身体を傷害したとき。 | ○ | ○ | ○ | ||
(4) 暴行・けんか | 暴行を加え、又はけんかをした職員が人を傷害するに至らなかったとき。 | ○ | ○ | |||
(5) 器物損壊 | 故意に他人の物を損壊したとき。 | ○ | ○ | |||
(6) 横領 | ア 自己の占有する他人の物を横領したとき。 | ○ | ○ | |||
イ 遺失物、漂流物その他占有を離れた他人の物を横領したとき。 | ○ | ○ | ||||
(7) 窃盗・強盗 | ア 他人の財物を窃取したとき。 | ○ | ○ | |||
イ 暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取したとき。 | ○ | |||||
(8) 詐欺・恐喝 | 人を欺いて財物を交付させ、又は人を恐喝して財物を交付させたとき。 | ○ | ○ | |||
(9) 賭博 | ア 賭博をしたとき。 | ○ | ○ | |||
イ 常習として賭博をしたとき。 | ○ | ○ | ||||
(10) 麻薬等の所持等 | 麻薬、大麻、あへん、覚醒剤、危険ドラッグ等の所持、使用、譲渡等をしたとき。 | ○ | ||||
(11) 酩酊による粗野な言動等 | 酩酊して、公共の場所や乗物において、公衆に迷惑をかけるような著しく粗野又は乱暴な言動をしたとき。 | ○ | ○ | |||
(12) 淫行 | 18歳未満の者に対して、金品その他財産上の利益を対償として供与し、又は供与することを約束して淫行をしたとき。 | ○ | ○ | |||
(13) 痴漢行為 | 公共の場所又は乗物において痴漢行為をしたとき。 | ○ | ○ | ○ | ||
(14) 盗撮行為 | 公共の場所若しくは乗物において他人の通常衣服で隠されている下着若しくは身体の盗撮行為をし、又は通常衣服の全部若しくは一部を着けていない状態となる場所における他人の姿態の盗撮行為をしたとき。 | ○ | ○ | ○ | ||
(15) ストーカー行為 | 同一の者に対し、つきまとい等を繰り返し行った者 | ○ | ○ | ○ |
4 飲酒運転・交通事故・交通法規違反関係
違反行為等 | 懲戒処分等の種類 | |||||
免職 | 停職 | 減給 | 戒告 | 訓告等 | ||
(1) 飲酒運転 | ア 酒酔い運転(道交法第117条の2第1項に規定する酒に酔った状態で車両等を運転することをいう。)又は酒気帯び運転(道交法第65条第1項に規定する酒気を帯びて車両等を運転することをいう。以下同じ。)で人身事故を起こしたとき。 | ○ | ||||
イ 酒酔い運転又は酒気帯び運転により、物損事故を起こしたとき。 | ○ | ○ | ||||
ウ 酒酔い運転をしたとき。 | ○ | ○ | ||||
エ 酒気帯び運転をしたとき。 | ○ | ○ | ||||
オ 飲酒運転をした職員に対し、車両若しくは酒類を提供し、若しくは飲酒をすすめたとき又は職員の飲酒を知りながら当該職員が運転する車両に同乗したとき。 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | |
(2) 飲酒運転以外 | ア 無免許運転等、過労運転等又は35km毎時以上の速度超過(高速自動車国道等において40km毎時)以上こえる速度で進行することをいう。)(以下「悪質な交通法規違反」という。)により、人を死亡させ、又は重篤な傷害を負わせたとき。 | ○ | ○ | ○ | ○ | |
イ 悪質な交通法規違反により、人に傷害(重篤なものを除く。)を負わせ、又は物を損壊したとき。 | ○ | ○ | ○ | |||
ウ 悪質な交通法規違反以外の交通法規違反により、人を死亡させ、又は重篤な傷害を負わせたとき。 | ○ | ○ | ○ | |||
エ 悪質な交通法規違反以外の交通法規違反により、人に傷害(重篤なものを除く。)を負わせ、又は物を損壊したとき。 | ○ | ○ | ○ | |||
オ 上記以外の過失により、人を死亡させ、又は重篤な傷害を負わせたとき。 | ○ | ○ | ○ | |||
カ 上記以外の過失により、人に傷害(重篤なものを除く。)を負わせ、又は物を損壊したとき。 | ○ | ○ | ○ | ○ | ||
キ ひき逃げをしたとき。 | ○ | ○ | ○ | |||
ク あて逃げをしたとき。 | ○ | ○ | ○ | |||
(3) 飲酒運転以外の交通法規違反 | 悪質な交通法規違反をしたとき。 | ○ | ○ | ○ | ○ |
5 監督責任関係
違反行為等 | 懲戒処分等の種類 | |||||
免職 | 停職 | 減給 | 戒告 | 訓告等 | ||
(1) 非行の隠ぺい、黙認 | 部下職員の違反行為を了知したにもかかわらず、その事実を隠ぺいし、又は黙認したとき。 | ○ | ○ | ○ | ||
(2) 指導監督不適正 | 部下職員が懲戒処分を受ける等した場合で、管理監督者としての指導監督に適正を欠いていたとき。 | ○ | ○ | ○ |
備考
1 飲酒運転・交通事故・交通法規違反関係における「人を死亡させ」とは、事故後24時間以内に死亡した場合を含むものとする。
2 重篤な障害とは、30日以上の入院治療(入院治療をしないが同程度と認められる者を含む。)をいい、傷害とは治療期間が15日以上30日未満であるもの(事故後24時間経過後に死亡した場合を含む。)をいう。
3 処分を行うに際しては、具体的な行為の態様、悪質性、過失の程度、事故後の対応等も情状として考慮して判断するものとする。
4 調査の結果、事故が全く相手方の責任に基づくものである場合又は不可抗力による場合には、これを適用しない。